瞑想の姿勢について

1.椅子? 床?

 椅子に座っての瞑想でも問題ありません。電車の中やオフィスで行う際にはこの姿勢が有効となるでしょう。

 床に座る場合には、ヨガマットをまず敷いて、その上に座禅用の座布団(座布)を置いて座ると良いでしょう。 座布は大手のネット通販サイトで購入できます。

 快適な姿勢でしょうが、床に横になるのは避けましょう。横になる姿勢は、脳に眠りにつく合図と勘違いさせてしまいます。瞑想を行う意図、目的には反して深すぎるリラクセーション状態へと導いてしまい、トレーニングにならないことが多くなります。同じ理由から、ベットやお布団の上で瞑想をするのもできれば避けましょう。これまでお伝えしてきたように瞑想はメンタルトレーニングです。眠気を誘うような状態で実施しますと、脳の学習効果は低下します。

 椅子、床どちらに座る場合にも、頭、首、背骨を一直線にして垂直になるように座ります。椅子の場合、背もたれには寄りかからないようにします。背筋は伸ばしながら、おなかはゆったりとするように座ってください。呼吸を楽にできるほかに、自分の内面、内部から発せられる様々シグナルを感じることができるようにするための姿勢です。

2.研ぎ澄まされた状態、でも力まない

 例えばフォーカス・アテンション瞑想では、注意を維持しながらも肩の力が抜けて、緊張のない状態を感じ取ることができる姿勢を見つけることが大切です。座っていいるとすぐ眠くなってしまうようでしたら、立ったり、歩いたりしながら瞑想を行うことも場合により有効となります。

 姿勢はわたしたちの心を反映し、心の状態をつくります。

3.手の置き方

 手の置き方にも意味があります。膝の上に手を載せる方法でもよいのですが、姿勢を崩しやすいという欠点があります。

 座禅でよくみる手の形はどうでしょうか。手のひらを上に向けて、一方の手を他方の手のうえにそっと載せて、親指同士を軽く触れるように合わせます。 お臍の前 で、この両手で組み合わせたこの形をとります。この手の組み方、位置には意味があります。

 過度にリラックスすることを避けることができるとともに、親指の押し合う力加減の感覚を通して、瞑想で求められる適度な集中度が出来ているか否かを教えてくれるのです。指をそっと添える程度、強すぎず離れない力加減のとき、私たちの心の状態もほど良い集中状態にあります。

手の形に注目

4.頭部

 頭の位置もあなたの心の状態を反映する指標として有効です。目を閉じていても、いろいろと考え事をしていると、顎の向きがやや上向きとなる傾向があります。眠くなってしまったり、集中度合いが低下すると、電車の中でよく見かけるように頭はうなだれ気味になります。

5.開眼? 閉眼?

 一般的に集中するためには閉眼が有効とされますが、目を閉じると内省など「心の彷徨い(mind wandering)」が生じてしまう方もいます。ご自身の特性をよく観察して、瞑想の目的に応じて開眼でも閉眼でも使い分けていただいて結構です。

【文献】

  1. Jeff Tarrant. Meditation Interventions to Rewired the Brain: Integrating Neuroscience Strategies for ADHD, Anxiety, Depression & PTSD. Wisconsin:PESI Publishing&Media.2017
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はお断りします