効果を最大限引き出すコツ

 瞑想を行うにしても、ニューロフィードバックを活用したニューロメディテーションを実施するとしても押さえておかなければならない大切なポイントがあります。

 瞑想トレーニングは、お家で例えますと「上物」に相当します。どんなに素敵な外観を備えた上物を作ろうとしても、「土台」または「基礎」がしっかりしていませんと、砂上の楼閣になってしまい、目的のトレーニング効果を得ることはできなくなります。

 ニューロメディテーションではself-regulationを導くことができるような「土台」「基礎」作りも並行して行っていくことが効果的です。

 瞑想、ニューロフィードバックの効果を最大限引き出すために大切な「土台」や「基礎」とは一体どのようなものになるのでしょうか。

1.食事・栄養

 ニューロフィードバックとは、脳に備わる「可塑性」という性質を活用したメンタルトレーニングです。可塑性が起こるのは、「シナプス」と呼ばれる神経細胞同士のつなぎ目に相当する部分です。

 神経細胞同士は、神経伝達物質(ノルアドレナリン、アセチルコリン、セロトニン、ドーパミン、GABAなど多数)というメッセージ物質をもとにして情報を交換します。この神経伝達物質をやりとりする場所、ステージがシナプスとなるわけですが、そこには神経細胞の突起とこれを支える支柱(脂質やタンパク質が原料)が存在します。

 可塑性を誘導するには、「環境や刺激」とこの環境、刺激に適応しようとして脳がつなぎ目を再構築するプロセスで不可欠となる「材料」です。 「環境や刺激」 が瞑想やニューロメディテーションです。「材料」とは神経ネットワークの再構築、即ち、脳の可塑的な変化に不可欠な栄養素です。材料には体内で調達できるものもありますが、多くを食事から摂取する必要があります。

 筋トレなどフィジカルトレーニングにおいて、栄養素の確保に配慮する方は多い反面、メンタルトレーニングはやはり目でとらえにくいので、トレーニング中の食事への配慮がおろそかになることがあります。食事の基礎が整っていませんとニューロメディテーションの効果発現は期待できません。

2.睡眠

 食事とともに訓練効果に影響するものが、睡眠の量や質です。神経ネットワークの再構築は、課題中ではなく、休息中とくに睡眠中に行われています。質と量に配慮した睡眠習慣を心がけておくことが、瞑想トレーニングでは大切になります。

 瞑想とは単なる「リラクセーション」であるという誤解があります。このことが、眠い状況での瞑想を容認してしまう傾向があるのでしょう。瞑想とリラクセーションとは異なります。臓器としての脳の働きをあえて休める場合(自己超越瞑想など)の場合でも、休息「トレーニング」です。このときの脳の状態は、睡眠時の脳の働きとは全く異なります。

 もし、瞑想によってウトウトと寝てしまうことが多いようでしたら、まずは先にしっかりと睡眠をとってください。眠いなかでの瞑想効果は期待できません。ニューロメディテーションは覚醒した状態で実施することが大切です。

 仕事上、生活習慣によって睡眠覚醒リズムが、24時間周期の地球のサイクルと合わせることが難しい方もいらっしゃるかと思います。その際でも、お部屋の照度コントロールや寝室の環境などに十分気を遣っていただくことが有効です。

3.運動・身体活動

 人間の脳と身体機構は密接不可分の存在です(心身相関)。瞑想が脳をターゲットととしたメンタルトレーニングであると言ってしまいますと、脳だけに注意を向けるだけで良い気もしてしまいますが、脳を支える身体機能(消化機能、循環や呼吸機能など)がしっかり働いていませんと、脳のパフォーマンスは低下してしまいます。脳のはたらきを支える基礎的な身体機能を維持する上で、一定量の運動や身体活動は大変有効となります。

 運動と言いますと大げさに感じますが、日常的に行っている身体活動に意識を向けるだけでも、代謝活動に変化が生じるという研究結果もあります。

 また、電車に乗ったら空きシートに座るためにダッシュするのではなく、あえて立ってみることを選択したり、エスカレーターがあっても階段を上ってみるなどのちょっとした身体活動が効果的となります。

 いかがでしょうか? 「何だこんなことか..」と思いませんでしたか? 当たり前のことを継続することが一番難しいと思います。

 瞑想トレーニングの「土台」や「基礎」に相当する①食事・栄養、②睡眠、③運動・身体活動をしっかりと整えますと、心身に起こる変化を必ずや実感できるようになるでしょう。さらにこのような生活を送る中で、短い瞑想時間を取り入れていくことが、効果を最大限にひきだすためのコツになります。

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