瞑想には複数のタイプがあり、異なる脳のネットワークをトレーニングするため、ご自身にフィッティングする瞑想を選ぶことが大切であることをお伝えしてきました。
しかし瞑想クラスなどに参加されたご経験ある方ならご理解いただけると思いますが、世の中で行われている多くの瞑想では、これまでお伝えしてきた単一のスタイルの瞑想だけを行うことはむしろ稀です。例えば、数分の間呼吸に注意を向けることから瞑想が始まり(フォーカス・アテンション瞑想)、その後に他のスタイルの瞑想へと移っていく方法もよく行われています。
少々混乱するかもしれませんが、これまで紹介した4つのタイプの瞑想はお互いに排他的なものではなく、伝統的な瞑想の中でも複数のスタイルの瞑想を組み合わせて実施することは珍しいことではありません。
複数のスタイルを組み合わせる場面でも大切なことは、お料理のように組み合わせる素材の特徴と、材料の相性をよく押さえておくことになります。
1.フォーカス・アテンション瞑想から始める
欲張って全てのタイプの瞑想をマスターしようとしても上手くいきません。迷ったらフォーカス・アテンション瞑想から始めましょう。
- フォーカス・アテンション瞑想は、精神的な安定をもたらし、結果としてざわついた心を鎮めてくれます。
- 多くの伝統的な瞑想法が、初心者にはフォーカス・アテンション訓練からから始めて、より応用的な瞑想トレーニングへ進めることを推奨しています。
- ベータ波 (β波:13-30Hzの脳波) などの脳波パターンを示す方についても、フォーカス・アテンション瞑想が一般的には有効です。このような方は同時に様々なことに思いを巡らしてしまう傾向があり、一つの事柄に心を集中することが不得意です。マインドフルネス瞑想(オープン・モニタリング瞑想)や自己超越瞑想を本格的に始める前に、導入としてフォーカス・アテンション瞑想を行うことが有効です。
2.活性化タイプと鎮静化タイプがある
4つの瞑想が持つ大きな区分を押さえておきましょう。「フォーカス・アテンション瞑想」と「慈悲と慈愛の瞑想」、この二つのタイプは、脳の活性化を促す瞑想スタイルです。一方、「オープンモニタリング瞑想」と「自己超越瞑想」は、脳を鎮静化する特徴があります。
もし、日々のお仕事や家事などが忙しいあまり、脳波の検査でベータ波(β波)などの速い周波数の脳波の占める割合が多い場合には、脳を落ち着かせる瞑想法、 「オープン・モニタリング瞑想」と「自己超越瞑想」 の組み合わせが有効です。
逆に、もし気分が落ち込みがちで、元気がない場合には脳を活性化させる瞑想法( 「フォーカス・アテンション瞑想」と「慈悲と慈愛の瞑想」 )を試してみましょう。
・活性化タイプの瞑想トレーニング : フォーカス・アテンション瞑想は、高い周波数の脳波であるベータ2(high-β波 :20-30Hz)およびガンマ波(γ波 : 30H以上)成分を増加させるトレーニングです。慈悲と慈愛の瞑想は、主にガンマ波(γ波)成分を増加させます。
・鎮静化タイプの瞑想トレーニング : オープンモニタリング瞑想はシータ波(Θ波:4-8Hz)の脳波成分を増加させる瞑想法です。自己超越瞑想は、アルファ1(α1波:8-10Hz)の周波数成分を増強させるメンタルトレーニングです。
3.「心地よい瞑想」があなたにとってベストとは限らない
瞑想の定義を覚えていらっしゃいますでしょうか?
瞑想(メディテーション)とは、 習慣化された注意、思考、感情、知覚等の精神機能について自己制御(self-regulation)できるように組み立てられたメンタルトレーニング体系の総称です(クリック>>)。
科学的なメンタルトレーニング法として瞑想を捉えたときに、深いリラクセーションを導くか?、心地よいか? 簡単か? この基準だけで瞑想法を選びますと失敗することもあることをご理解ください。
永年親しんできた脳のネットワークの働き方のクセを、瞑想をとおして修正することが必要なこともあるでしょう。身体的なトレーニングと同様に、あなたの脳のネットワークの状態を正確に「評価」し、この情報をもとに瞑想のメニューを組み立てていく必要があります。場合により努力も必要となります。
「ニューロフィードバック」のページで説明させていただきましたように(クリック>>)、私たちがなぜ「ニューロメディテーション」が瞑想というメンタルトレーニングに有効と考えるかはここに理由があります。科学的かつ正確で、効率的なメンタルトレーニングとして、瞑想をおこなってみましょう。